タランドゥスオオツヤクワガタ
飼育記録
学名:Mesotopus tarandus
主な産地:コンゴ
アフリカ大陸に生息しているクワガタムシの中では最大種であり、
太い体、くの字に曲がった短い大あご、
そして何よりも漆を塗ったような非常に光沢の強い体が特徴です。
この光沢は周囲の風景を自分の体に映して擬態するためのもので、
特に鳥類が光の反射を嫌っていると言われています。
興奮すると頭部を震わせ、携帯電話のように音を出しながら震えます。
凶暴性は抑え気味であり、積極的に多種を攻撃しようとはあまりしませんが、
身の危険を感じると瞬時に動いて大あごで弾く、挟むなどして応えます。
温度の変化にもある程度強く、寿命も1~2年と比較的長寿ですが、
特に産卵~幼虫の飼育には注意することがあります。
2024年4月1日 のんびり屋さん?
10年以上前から本種の飼育を続けて
きましたが、ずっと抱いていた印象は
「とにかくのんびり屋」ということ。
繁殖できるまでに羽化してから約半年、
ペアが成立してもメスが産むかどうかは
気分、しばらくしても産まないと考えて
いたらある日急に産み出したりなど、
長く飼育を続けているせいか
色々な思い出があります。
中にはオスに挟まれて指の皮膚が切れた、
という痛く苦い記憶も……。
そんな思い出深い本種の飼育を、今年も
継続していきます。
2024年4月15日 新たな婿さん、嫁さん
そろそろ血の入れ替えを、と考えてヤフオクを眺め、落札した子がこの日に届きました。
オスは73㎜で今年の2月生まれ、メスは
50㎜、51㎜で今年の1月生まれ、オスメス
ともに成熟はしていないので、まだ
ゼリーは食べません。
我が家にいる子はオスが2023年の8月
生まれ、メスが2023年の10月生まれなので
やや年の差はありますが、寿命の長い種類
なのであまり問題はないと思います。
成熟までのんびり待ちます。
2024年4月29日 いつもの光景
新たに来たメス2匹が動き回っていたため、ゼリーを与えるとすぐに食べ始めました。
しばらくして再び覗くとこのような光景が。
タランドゥスはかなり大食いな子なので
こんな風に頭を突っ込むどころか
容器がボロボロになるまで噛むことも
よくあります。
もう1匹のメスも同じように食欲旺盛で
これからが楽しみになります。
対するオスは少し食べただけなので
掛け合わせるのはまだ先になりそうです。
2024年5月16日 一歩前進
元々我が家にいたオスが活発に震え始めた
ので、4月に来たお嫁さんの内1匹に
近づけてみました。
すると、オスは自分の胸部をメスの頭に
押し付けるような動作をした後にメスの背後に回り込み、そのままペアが成立しました。
この動作は交尾の直前にオスがメスに対して行うのですが、色々な意味で
「メスを試している」動きという噂です。
タランドゥスは成熟に約半年かかるので
まだ少し早かったかもしれませんが、
寿命の長い種類なので
うまくいかなかった場合は再挑戦します。
2024年6月23日 そこに「正解」はあるか
色々な材を試していましたが、
産卵を控えているメスは3匹とも
好感触ではなく、潜らずに周辺を
うろついているしかありませんでした。
そこで新しい産卵材を仕入れました。
左2つが産卵材、右1つはカワラ菌糸の
ボトルを使用しています。
その中でも右のカワラ菌糸ボトルのセットに
入れたメスはすぐさまボトルに興味を
示していました。タランドゥスは個体で
好みの材が異なるのですが、
その子にとってはカワラボトルが
正解だったのかもしれません。
これからじっくりと様子を見ていきます。
2024年6月28日 ついにその時が
カワラボトルに入ったメスはその後すぐに
出てきてしまいましたが、材と一緒のメスは材に穴をあけ、中に入っていることが
わかりました。材を入れているもう1つも
同じように中に入っており、いよいよ産卵のスイッチが入ったようです。
こうなるとしばらくの間は中にこもりきりになるので、頃合いを見て強制的に
中のチェックをすることになります。
タランドゥスの割り出しのタイミングは
色々とあるようなので、改めて調べてから
割り出すことにします。
2024年7月5日 緑の宝玉
材に入ったメスは片方が7月に入って早々に
出てきていました。その後は時折あけた穴を見る事こそあれど、再度潜っていくことは
ありませんでした。
あまり期待をせずに割って中を見ると、
5個の卵を発見出来ました。
タランドゥスの卵はこのように緑色を
しているのが特徴です。
卵は容器の上に湿らせたティッシュを敷き、その上に配置します。このまま放置すると
乾燥してしまうので、1日に1~2回ほど、
目の細かい霧吹きで加水しています。
孵化するまではこのまま管理します。
2024年7月20日 待望の瞬間
午後11時頃に見ると
卵が1つ孵化していました。まだ幼虫の頭が真っ白いため、孵化してあまり時間が
経っていない「生まれたて」の状態です。
他の卵も状態は良さそうで、
周囲の水分を吸って膨らみ、
うっすらと中が透けて見えています。
孵化した幼虫は発酵の進んだマットに入れて管理しますが、2週間ほど経過して
幼虫の体がある程度しっかりしたら、
別のエサを使わなければいけません。
2024年8月4日 スピード勝負
もう1つの材を割り出すと、此方からも
幼虫がちらほらと。此方の材に潜っていた
メスは私が割り出すまで出て来ず、
幼虫とともにメスを取り出しました。
結果、発見した幼虫は6匹。先の5匹と
合わせて11匹となりました。
タランドゥスは成虫がのんびり屋ですが
幼虫は非常に成長が早く、ここから
半年ほどで蛹になることもあります。
11匹の幼虫は全てカワラ菌糸を詰めた
200mlのカップに投入しますが、
1か月ほどで食べ尽くし、びっくりする
くらいに巨大化します。その間に
次の場所を用意しなければいけません。
2024年9月8日 用意は計画的に
幼虫達は順調に成長し、カップの中身を
ほぼ食べ尽くす個体も現れました。
頃合いなので、用意しておいた
1400mlカワラボトルへ1匹ずつお引越し。
1匹だけ病気だったのか亡くなり、合計は
10匹になってしまいましたが、
この10匹を大切に育てます。
ここから急激に成長し、1400mlでも2か月で
食べ尽くしてしまいます。
タランドゥスは幼虫時代にオスメスを
見分けたい場合は頭や体の大きさ、体重で
判別するしかない上に新たな菌糸の準備には
1か月ほどかかります。
そのため、10月中旬を迎えるまでに外から
見て大雑把に判断し、それに応じた大きさの
菌糸ボトルを用意します。
2024年11月17日 オスに偏った?
この日を迎えるまで幼虫達は殆ど側面に
姿を見せず、多少不安な中掘り出してみると殆どの子が大型に。
中でも最大だったのが画像の34.7gの幼虫で、もう1匹同じ体重の子がいました。
他は30g台の子や30gに近い子が4匹、
続けて22g、15gといった具合でした。
私はひとまず25g以下であればメスとしていますが、今年はオスが
豊作な年なのかもしれません。
一方で亡くなってしまった幼虫が1匹、
もう1匹は3令になってから拒食症になった
のか1gほどしかありませんでした。
幼虫は9匹に減ってしまい、不安のある子もいますが、全員を1400mlボトルへ
投入しました。まだ成長するのでもう一度
エサ交換の可能性がありますが、その時は
2300mlボトルを使用予定です。